正義は人によって違う-NHKスペシャル「クジラと生きる」を見て

(読了時間=約 2 分)

日曜日に放映されていたNHKスペシャル「クジラと生きる」
http://www.nhk.or.jp/special/onair/110522.html

捕鯨で有名な太地町の漁師たちの苦悩を描いたドキュメンタリー。
何気なくみていたんだけど、町に押し寄せた反捕鯨団体の外人たちのひどい嫌がらせに目が釘付けになってしまった。

これはひどい。

話には聞いていたけど、実際に見ると異常さがよくわかった。

しかも、太地みたいな田舎町に行っておきながら、英語で現地の漁師を罵ってるし。
現地で文句言うなら日本語くらいしゃべれよ。
まぁ、瑣末な話ですけど。。筋としてどうかと思った。

でも、彼らは自分が正義だと信じている。
そして、彼らの背後には資金供給している人がいるわけだよねきっと。だから働きもせず日本まできてストーカーまがいの行為をしてられる。資金提供者は彼らの正義を支持してるわけです。

もちろん、太地の漁師たちにも正義はある。

昨年、サンデルの正義に関する本がベストセラーになったけれども、あれでいみじくも明らかになったのは、「正義」というのは人によって違うということ。皆が同意できる正義が現れるのは、勧善懲悪ものの様に極度に簡略化された世界観の中でのフィクションでしかない。複雑な要因が絡む現実世界では、「複数の正義」があることも多い。それをうまく整理したのがサンデルの本だと思う。

そういえば、ドラマ24のファイナンスシーズンでも「justice」という言葉が良く出てくる。結構、この種のアメリカドラマの隠しテーマが「正義」というのは結構多い気がする。興味深いのは、”his justice” というような使い方が出てくること。暗黙のうちに正義が人によって違うことを認めているような用法で面白い。

人によって正義が違うことを前提に、自分の正義を通すために戦ってゆくのが欧米流なのかねぇ。

となると、「耐えなあかんで」と言い続ける太地の漁師たちは根本的にゲームのルールを誤解しているのかも。
でも、この対応はいかにも愛すべき日本的文化に思えるのですが。

あと、この話が心に引っかかったもう一つの要因は、この反捕鯨団体のような人たちを最近良く見かけていたということ。つまり、反原発の人たちです。

不正確な情報分析で不安を煽る記事をネットで発信しつづける。いい加減なことを思うけど、本人は多分正義感に基づいて行動している。だからなかなか挫けないし、ものすごいエネルギーを注いで事にあたっている。

正義に基づく行動というのはそれだけ聞くと美しいけど、実際には正義は一つではないので、共感できなければ鬱陶しいだけ。

なんかそんなことまでも考えさせられる番組でありました。

火曜日深夜24:15から再放送されるそうです。
興味ある方は観てみてください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です