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四号機で火災があったが自然鎮火。三号機では保管されていた使用済燃料の冷却に不調があり保管しているプールの水が蒸発して白煙が発生した。三号機及び四号機の使用済み燃料保存プールに空中からヘリで水を注入する案が検討されたが現地の放射線量が高く危険なため断念。別途、地上から特殊車両で放水して水を注入すべく準備が進められている。
現地の放射線量は高止まりだ。午前10時45分に正門付近で6,400μSv/hを記録した後、12:30に10.850μSv/hに達し、15:50でも未だ1,591μSv/hまでしか下がっていない。昨日未明は100μSv/h以下、本日午前8時頃には600μSv/hまで回復したのに。事態はじわじわと悪化している。(参考:福島第一原子力発電所の現状について(東京電力))
今日、新しい対策がほとんど打てなかったことを考えると、思ったほど悪化していないとも言えるし、それ自体は良いニュースだとは思う。しかし、当然ながら安心できる状況にはほど遠い。そんな中で気になった記事。
原発所内の電源回復が大惨事を防ぐには必須(団藤保晴)
この指摘は正しいと思う。爆発した施設での回復は難しいかもしれないが、状況把握や対策の助けになるのは事実だろうし、五号機・六号機に問題が拡大するのを防ぐことも期待できる。と思ってたら、直後に読売新聞から下記の様な報道があった。
炉心冷却装置の復旧へ、新送電線着工(読売新聞) 目標通り16日中の復旧ができたらかなり事態は改善するのではないかと思う。ただ、この取組は自分が見た限りでは記者会見で触れられていなかったので、真偽の程はわからない。
不安を煽るだけのデマは論外だが、「チェルノブイリみたいなことにはならないから大丈夫」という結論だけ言われてもこの状況下では納得感がない。まぁ、それが専門家の発言であれば相応の説得力はあるけれど、できるならもう少し具体的に理解したいところだ。そんな中で下記の記事は納得感が高かった。
イギリス政府による福島原発事故の影響評価(池田信夫Blog)
メルトダウンの事態について具体的に言及している点、チェルノブイリ事故とも比較している点が良かった。また、比較的直近の情報まで織り込んで話をしているように感じるのも良い(以前紹介したMIT教授のレポートは、その後の変化が大きすぎて今となっては気になることがカバーしきれていない)。
福島第一原発で何が起きているのか―米スリーマイル島原発事故より状況は悪い
先日紹介した大前研一さんのBBTでの放送を文字にしたもの。内容は一緒なので動画を見た人は読まなくても大丈夫。大前さんは元日立の原子力技術者なのでこの問題についての知見がある。ただ、一般論としてコンサルタントは総じて話が上手いので、その辺はちょっと割引いて読んだ方が良いかもしれない(笑)。
【物理板】福島原発、放射能を説明・解説して差し上げるスレ
これも複数のRetweetで見た。基本的なところを理解するのには良いと思う。
何だかんだ言って1~3号機の原子炉自体は新しいことが起きていないので安定はしてきているのかなとは思う。最悪の自体についても上記の分析で話が出ているので何となく納得感はある。
一方で、使用済み燃料棒の問題については非常に気になっている。崩壊熱が弱いとはいえ、冷却できなければ熱くなるだろうし、原子炉と違ってシールド内にない。特に三号炉はプルサーマルなので、その使用済み燃料が問題を抱えているというのは落ち着かない。この辺りの問題について、最悪ケースまで踏み込んでフェアに分析した記事が早く出てきて欲しい。
気になる人が多いようで(当たり前だよね)、今日のテレビ報道でも盛んにこれに関するデータが出てくる様になった。データポイントもどんどん充実している。昨日紹介した2chのスレッドに加えて、東京都も都内の測定結果をリアルタイムで表示するページを立ち上げた。
ガイガーカウンター計測値 6(2ch)
昨日紹介した2chのスレッドはパート6になった。素人だとデータの見方がわからないが、とりあえず桁一つ違うようなデータになってきたら要注意、という感じで良いと思う。それに、異常値が出たらここの住人がコメントするのでそれだけ読んでいても役に立つ。
都内の環境放射線測定結果
公式データとしてはこちら。あちこちの自治体がこの手のものを準備しているようで、だんだんデータが充実してゆくことだろう。異常値が出た時にいきなり見ても判断しづらいので、どれか一つ決めて定点観測しておくと良いと思う。
アメダス実況(風向・風速) – 全国 – 日本気象協会 tenki.jp
NHKの天気予報で「明日は北からの冷たい風が吹くでしょう」なんて言うのを聞いて妙に意味深に感じてしまう人はこちらのサイトをどうぞ。ただ、風向きは結構変わるので実際には役に立つ気がしない。これよりも地域の観測データを追った方が良いと思う。
日野のデータを見ていたが、今日は午前5時頃に40cpmまで上がった後は20cpm(平常値)で推移しており極めて平和だった。
ちなみに、放射性物質は一様に拡散しているのではなく雲みたいな形になって漂っているらしく、風向きによって特定地域で急に数値が上がったりしたりしているようだ。万一大量の放射性物質が流れだす状態になっても、風向き次第で危なくなったら屋内退避、という形でけっこう粘れるように思えてきた。