成長可能性の診立て

(読了時間=約 2 分)

もうちょっとだけ能力評価の話を。

ある人が壁にぶつかっていて、その原因を考える場合、概ね3つの可能性から考えることが多いように思う。

(1) 素質・才能
(2) スキル
(3) 課題認識・態度

(1)の素質・才能というのは、その人が本来的に持っているものだ。所謂頭の良さ、つまり、脳の処理能力の高さとか、記憶力の良さとか、ひらめきの有無とか、あるいは、ビジネスに関するセンスの良さ、対人関係に関わるセンサーの鋭さとか、まぁいろいろある。

(2)のスキルというのは訓練で改善可能なものを指す。コミュニケーションスキルは勿論のこと、論理的思考や人間関係まで、様々な能力が訓練で改善可能だ。才能がなくてもしっかり訓練していけば、能力を改善してその差を埋めることができる。

(3)の課題認識・態度、というのは、言い換えると価値観のようなもの。ある問題を問題だと思うかどうかという話だ。例えばコンサルタントは合理性を重視するが、合理性よりも説得力の方を重視する人もいる。

ある人が壁にぶつかっていた場合、その原因が(1)~(3)のどれかという議論になることが多い。

まず最初にチェックすべきは(3)の点だ。

よくあるのが、前職での仕事とコンサルティング会社の仕事の違いが分かっていない、ある能力がコンサルタントとして必要不可欠だという認識がない、といった形。課題認識がないので、欠点がいつまでたっても改善されない。

これはまずちゃんと話をして、事実認識やうちの会社の価値基準を理解してもらうというところから始める必要がある。「あ、そういうことか」となって認識が変わることで、課題を解決しようという方向に動き出す。場合によっては、本来持っていた能力が正しい方向に向いてパフォーマンスが急速に改善することもある。

中にはここが変わらない人もいる。何度も言ってもピンと来ないままの場合もあるし、理解していながら、その道は選択しないと言い切る人もいる。残念だがこれは住む世界が違うという判斷をせざるを得ない。

(3)が解決できているとすれば、次は(2)のスキル面の話だ。

能力のほとんどは訓練によって底上げできる。本人にやる気があるのであれば、それに対して材料を提供するのは会社の役目だ。様々なトレーニングもあるし、別途先輩社員と話をする機会を設定することもできる、アサインメントを調整して適切な仕事を与えてみたり、OJTでその点に留意して指導してゆくやり方もある。

ただ、時間的な制約も考えなければならない。成長するにしても、会社はそれを10年待つということはできない。だから、いろいろな方法の中でどれが本人にとって一番効果的で、迅速な効果が見込めるかが議論の重要なポイントになってくる。

(1)の素質・才能が問題だったということになると、残念ながらこれ以上の議論は難しい。これは先天的なものであり、後から改善は困難だからだ。

でも本来、我々は卓越した才能を求めているわけではない。別に歴史に残る天才を探しているわけではない。それに、素質的に大きく乖離があるような人は採用段階でお断りしているはずだ。従って、原因分析をする場合、(3)と(2)となる場合がほとんどであり、(1)でという結論になることはほとんどない。

この考え方は、基本的にどこの会社でも一緒だと思う。

ただ、自分の前職の経験から言うと、この3つの議論の境界がやや曖昧になる場合が多い気がする。(3)が精神論になりがちだし、(2)については求められるスキルの定義がやや大雑把で、それを底上げするための訓練手法のバリエーションが少なかったり、社内に存在していても共有化されていないので十分活用されていなかったりする。

この辺を改めて整理して再構築すると、評価→フィードバック→改善というサイクルがもっとうまく回るようになるかもしれない。

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