フィードバック

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引き続き能力評価の話。

人を評価したらその本人にそれをちゃんと言うべきだ。その方がフェアだし、本人の成長のためにもなる。公式の評価がフィードバックされるのは勿論だが、日々の仕事の中でも改善課題を見つけたら、機会を見つけて本人にフィードバックすることが求められる。

360度評価のインタビューでも、一緒に働いた人の弱みや課題についてコメントすると、必ず「それを本人に言いましたか?」という質問が来る。

でも実際、悪いことは本人には言いにくい。何か感じ悪いし、感情的に受け取られて関係が悪くなる懸念もある。特に忙しいプロジェクトで働いている最中には仕事を円滑に進めるためにもそういうリスクは取りたくないという気にもなる。

でもフィードバックはしなきゃならない。

言いにくいことを言う時に、逃げ気味の姿勢で言ったりする人がいる。オブラートに包んだような表現にしてみたり、良いところを強調して厳しいフィードバックに相手の注意がいかないようにしたり、あるいは、上の人が五月蝿いのでと他人のせいにしてみたり。

でも当然ながらこういうのは全く役にたたない。言葉として伝えたとしても意味が全く伝わらないからだ。逆に、評価基準や本人の課題に関する誤解を生む結果になるのでやらない方が良いくらいだ。

逆に、攻撃型のフィードバックをする人もいる。相手が致命的なミスを犯すのを待ってわざと騒ぎを大きくして徹底的に叱る。そうすることで上下関係を確立した上でお前はここが駄目だからこうしろ、と迫るわけだ。相手が反論しようものなら「そんなことだからお前は駄目なんだ」的に一喝。これは極端な表現だけど、事業会社でバリバリやっていた人は比較的こういうスタイルで部下を掌握しようとする人が多い気がする。

でも、これもあまりよろしくない。コンサルティング会社に来る人はそれなりにアタマが良いし、一般の会社と違って固定的な上司・部下の関係がないから上の人の支配力も限定的だ。だから割合すぐに見透かされてちゃんと受け止めて貰えなくなる。

ひと通り失敗してたが一番成功率が高いのは、極めて中立的にフィードバックするということだと思う。

まず感情は抑える。威嚇的だったり、同情的だったりのいずれも駄目で、冷静に落ち着いた環境の中で話す。波立つ水面に月は映らないということだ。相手が感情的であっても感情を抑えて話し続けることが重要だ。

二番目に、事実を正確に、精緻に伝える。評価基準に沿って話をし、それが、どういう観察事実から見出されているか。その結果、どういう問題が示唆されているか。一連の話をできるだけ精緻に、合理的に話をする。資料のこの部分が、とか、あの時のあの発言が、といった具体論も重要だ。

三番目。話を急がないこと。問題点と改善策を一緒に議論しない。まず問題点を共有することが大事で、それができてから初めてどう改善するかという議論に進む。場合によっては問題点の背景となる事実認識が共有されていないこともある。その場合には、何が起こったかの認識をまず共有しないといけない。ここを飛ばすと、納得を得るのが難しくなる。

最後に、あくまでも相手を成長させるために、真摯に誠意をもって話をする。これは自分がそう思っているだけでなく、相手との間に一定の信頼関係があることが重要だ。フィードバックの時にいきなり、私は誠意をもって話をしています、と言われても信じにくいので、その前の仕事の中で醸成されていることが望ましい。

改めて書いてみると当たり前の話だけれども、実際にやってみると中々難しい。

でも、このように文章で伝えにくいポイントというのは、結構重要だと思う。

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