「論点」と「議論」の定義

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ロジカルシンキングに関連する本は本屋に行けば山ほど出ているし、既に一般教養になりつつあるようにも見えます。でも、意外に基礎的なところで誤解がある場合も多い。その一例が「論点(issues)」という言葉です。

戦略思考の研修で最初にやるのが「論点(issues)」の定義。これは、


論点の定義

(1) YES・NOクエスチョンであること

(2) YESかNOかで結論が大きく左右されること


(1) YES/NOクエスチョンであること

(1)は議論を明確化するための要件です。

例えば、「A事業の見通しはどうか」といった設問では、何を議論すべきかがぼやけがちになります。この結果、何を検証すればいいかがわからなくなったり、意見は出るが噛み合わないなんてことになります。「A事業は成長するか?」のようにYes/Noクエスチョンの形にすることで、検証する対象が明確になり、議論の途中で迷子になるリスクが低減できるわけです。

(2) YESかNOかで結論が大きく左右されること

(2)は重要な点に集中するための要件になります。

例えば、会社の事業評価をしていて、A事業が全社損益に占める比率が少ない場合、「A事業が成長するか否か」によって判斷が左右される可能性は低いのでこれは論点ではありません。もっと他の重要な問題に時間を使った方がいい。一方、会社がA事業に対する多額の先行投資を考えているとしたら、A事業の成長見込は投資判断を左右しますので、これは論点です。

一般的には、論点(issues)は discussion points と混同されて使われることが多く、実際、コンサルタントでも普段は厳密に使い分けたりはしていません。

でも、難しい問題を議論する際には必ず基本に立ち返って論点を整理します。問題が解けなくなるのは大抵、議論がぼやけてきて混乱してしまうか、どうでもいい議論に時間をとられて時間切れになるかのどちらかですから。


さて、論点の定義を明確にすると、「議論」というものもより明確になります。論点をちゃんと捉えて議論をしようとすれば、議論は2種類しか存在し得ません。

議論の種類

A. 論点が何かを明らかにするための議論

B. ある論点がYESかNOかを判断するための議論

当たり前ですが、議論はA→Bの順に進むという形をとります。

でも、混乱した会議というのは、この辺がごちゃごちゃしている例が多いです。

何が論点かを明確にしないまま、個別の点について延々と話をしていたり、ある論点についての話のはずが、別の論点の話にすり替わったり。そうこうしているうちにみんな迷子になり、時間だけが過ぎていってしまいます。

会議が混乱しはじめたなと思ったら、上記の基本に立ち返ってチェックをしてみると良いと思います。

  • 今はAの議論か、Bの議論か?
  • Aならば、発言者の言う「論点」は?それは要件を満たしているか?
  • Bならば、発言者は論点についてYESかNOか?その根拠は?

ちゃんと答えが出ないところが混乱の原因です。そこを軌道修正することで、議論がすっきりするはずです。

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