NECのPC事業整理

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「NEC、レノボと合弁 パソコン日中連合へ」という見出しの記事が金曜日の日経一面を飾った。両社とも「何も決定していない」とのコメントを出したものの土曜日にさらに詳細な記事が掲載されていた。日経のスクープなのでそれなりの話が進んでいることは間違いないんでしょう。ただ、ニュアンスは相当違和感がある。例によって日経は日本電機再生キャンペーンを打ちたいバイアスがあるようで、変にポジティブな書き振りになっている。普通に考えればNECのPC事業の売却であり、単に国内の工場や販売人員を温存したいがために完全売却の形をとっていないだけなんだと思う。先日日立がディスプレイ工場を売ったのと同じような図式だ。

PCは高度に標準化された製品であり、規模の経済を活かしてコストダウンしなければ利益を出すことはできない。NECのPCは国内特化で、国内で未だ20%のシェアを維持しているのは健闘していると言えるがグローバルのシェアはわずかに0.9%。これではどう考えても逆転は難しい。実際、国内のPCで世界である程度売れているのは東芝のDynabookだけなのだ。何年も前からこの状況は明らかだったが、ようやくここにきて整理に向けて動き出したのは評価できる話といえる。合弁会社ということで現在レノボ側のDDが進んでいて、かなり厳しい値段が提示されるかもしれないが、それでも進めるべきだろう。

日本の総合電機の事業を再編する必要性は2000年代を通してずっと指摘され続けてきた。2006年に「日本の電機産業再生へのシナリオ(佐藤文昭著)」が出た時には、日系の電機メーカー同士の再編が暗黙の前提になっていたが、実際にはアジア企業との連携による再編が主流になっているように見える。以前はデジタル分野の技術流出に経済産業省が否定的で業界各社遠慮していたような話も聞いたが、2000年代半ばからそうも言ってられない状況に追い込まれた会社がタブーを破り、今ではそれが現実解になりつつあるというのは興味深い。

実際、家電の製造はもはや先進国の企業が取り組むべき事業ではなくなっているのかもしれない。


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