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この業界に入った時にパリで新入社員研修を受けたが、その時に一緒の組になった人たちは欧州各国から来た人々だった。1週間くらいかけていろんな課題をこなしていったのだが、その過程で強く感じたのは彼らそれぞれの個性だ。個人別の性格ももちろんあるが、まず感じるのは国別の文化・性格の違いだ。
フランス人が議長役になり議論をした時のこと、皆が全然彼の言うことを聞かずに勝手にガヤガヤ議論をしてまとまらない。怒った彼は腕を組んで椅子に座り、机の上にどんと自分の足を投げ出した。それを見つけた英国人が、「君、机の上に足を乗せたら駄目じゃないか」、「いいんだよ、だって僕は怒ってるんだから」。
英国人はきわめて英国人らしく、フランス人はフランス人らしく。彼ら個人個人にもちろん個性はあるものの、大枠ではその国についてよく語られているステレオタイプに近い言動をする。同じチームのスペイン人も、ベルギー人も同様だ。自然にそうなるというより、ある程度確信犯的にそう振舞っているようにすら感じる。
ステレオタイプ的に振舞うと、議論で衝突した際に構図が分かりやすい。英国×フランスみたいな、過去何度も繰り返されていた文化的衝突がここでも、という感じになる。激しく衝突しながらもお互いの手の内がわかっているようなところがあって、結構予定調和的に妥協点に決着したりする。
呑んでお互いをいじる際も同様で、過去何百年も繰り返してきたような国別対抗ジョークみたいなものを言い合って盛り上がっていたりする。
要するにそれぞれの国の違いをネタにした「お約束トーク」が豊富なのだ。
ここに、欧州という地域の成熟を見た思いがした。
一方、アジアだとこうはいかない。
日本人の多くは隣国中国の文化や国民性をまだ良く分かっていないし、東南アジア諸国についても同様だ。例えばインドネシアの国民性を一言で表現できる日本人は少なくとも私の周囲にはいない。
また、逆に日本人がどう思われているかもわかっていない。
交流の経験値も少ないので、どこで衝突するかも手探りだし、衝突した後の解決法にも定石がない。
これは結構大変だ。
今の日本はグローバル化が大きなテーマだ。そして今の時代のグローバル化は新興国の開拓であり、日本にとっては中国・インドを含めたアジア地域への展開はきわめて重要になる。
政治的、ビジネス的な観点からいろいろ必要な打ち手はあるけれども、その一方で、アジア地域内でのコミュニケーションインフラみたいなものの整備も重要じゃないかと思う。
具体的には、
・ 各国、特に主要国のキャラを知ること(相手もそれを認める状態となること)
・ 日本人はアジアにおける日本のキャラを立てること
・ 文化的差異をネタにした冗談(お約束トーク)をつくること
この辺が実践できれば、結構、アジアの人たちとの話がしやすくなる気がする。
ということで、今後アジア地域のメンバーと話をする際には隙を見つけて国別ジョークで弄りに行く、という取り組みを個人的にはしていこうと思います(笑)。