数字を見るコツ

(読了時間=約 2 分)

自分が数字を分析するときのコツというか、定石的な考えをご紹介します。数字を使った資料を作る場合もそうですし、ヒアリングをする場合にも基本的には同じ考えで動いています。
何らかのヒントになればと思います。

——————————————————————

A.主な要因が何かを把握する場合

(最初に何を見る?)

  1. EXCELが使えるのであれば、数字の多い順にソートし、上位5位程度のものをチェック
  2. 紙だけの場合にはざっと見渡して、桁数の多いもの(例えば3桁のものだけを)をピックアップ

(どうまとめる?)

  1. 数字の小さいものをざっと見て、先にピックアップしたものと同じカテゴリーに分類できるものがないかチェックする
  2. それらを一つにまとめて合算して表をつくりなおしてみる
  3. 1個から3個程度の要素で合計数字の70%程度以上説明できればOK(要素の数は少ないほど良い)

※1
「カテゴリー」の括り方がポイントです。たとえば、

  • シリーズ商品をひとつにまとめる
  • ブランドごとにまとめる
  • 商品区分ごとにまとめる
  • 社内の事業部門ごとにまとめる
  • 流通チャネルごとにまとめる
  • 販売先ごとにまとめる
  • 提携(仕入)先ごとにまとめる などなど

いくつかのパターンがありますが、資料の作成目的によっても、データのばらつきかたによっても異なります。杓子定規に考えず、経験を積みながら臨機応変な発想力を養うのが良いと思います。

※2
いろいろ工夫しても50%以下しか説明できない時は、「これといった要因はありませんが、敢えて言えば○○○○」と一番大きいファクターを1~2個挙げるにとどめています。(いくつも羅列すると却って説明が不明瞭になるので)

B.数字の評価を行う場合

(まず最初に)

  1. 一定の定義に従って機械的に集計された数字が最も信頼できる数字であるという基本認識を持つこと
  2. そうでない要素が入っている場合は何が違うのかを正確にヒアリングする。(数字を作り直す余裕があればそれに越したことはないが、それが無理な場合が多いので、それならせめてどこがどの程度あいまいなのかを把握しておきたい

※1
例えば、売上数なら通常は「出荷数」ですが人によっては「出荷予定数」を記載する人もいます。場合によっては両者が混在しているかもしれません。世の中にこういうケースは以外に多いのでいつも頭を悩ませることになります。ちなみに、これは数字を扱う訓練を受けているか否かということもありますが、性格的な問題も大きいような気がしています。

※2
数字を表にまとめる場合には注記として「どのような基準で集計された数字か」と「例外的な処理をしたとすれば何か」の2点を必ず記載します。説明をするときここまで詳しく言わないケースが多いので、書くのは小さい字でも構いませんが、自分の備忘録を兼ねて、かならず記載しておくことをお薦めします。

(どう見るか?)

  1. 数字の評価をする場合には「比較」を使うと分かりやすい
  2. どういう比較をするかは、[他者との比較]×[時間軸]のマトリックスを基本にして最適なものを考案する
  3. どんな比較をしても構わないが、最終的には「要するに○○○ということです」と一言でまとめられるのが美しい

※1
比較の切り口をどうするか、というもの経験です。あまり固定的に考えない方がいいと思います。ただ、基本形のようなものはありますのでご紹介します。

  1. 他社との比較
    • 構成比やシェアで見る
    • 順位で見る(売上ランキングなど)
    • 社内の他商品、他部門と比較してみる
    • 他社あるいは他社製品と比較してみる
    • 社内の平均値と比較してみる
      (うちでは新製品は平均○○だが、これは○○だ)
    • 業界の平均的水準と比較してみる
      (社内的にはホームランだが業界的にはピッチャーゴロだ)

     

  2. 時間軸
    • 過去から未来にかけての金額の増減をみる
      (去年・今年・来年のように3期程度で比較するのが良い)
    • 過去~未来の増減率を見る
    • 過去~未来のシェアの増減を見る
    • 過去~未来の順位変動を見る
    • 期初予算と実績とを比較する
    • 営業目標(あるいは予測)と実績を比較する

※2
ある数字を掘り下げて評価するときは、その変化要因を簡単な算式で考えて、その要因ごとに分析してゆくやりかたも有効です。(あくまでも「簡単な」算式であることが重要)

  • 売上高=単価×数量
  • 粗利益=売上高-原価
  • 限界利益=販売単価-変動費
  • 粗利益=限界利益×販売数量-固定費
  • 会員数=前月会員数+今月入会数-今月退会数
  • 市場シェア=当社売上高÷業界規模

※3
繰り返しになりますが、最終的な説明をする時点では、できるだけ1つの要因(決定的な要因)で説明することが重要です。様々な比較検証をすることは重要ですし、沢山の資料を並べると複雑で高度なことをやっているように見えて気分がいいかもしれませんが、「理解しやすい資料」とはなり得ません。

説明するときはあくまでも無駄を省き、簡単明瞭に行うことが大事です。

以上

(2000年5月掲載)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です