福島原発事故-環境への影響

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先日、東京都水道局(金町浄水場)で基準以上のI-131が検出された。
これに関連していろいろ記事を読んだので、現状の理解のメモを簡単に。

  • 内部被曝について問題になるのはI-131(ヨウ素131)。チェルノブイリ事故でも周辺住民の被爆で一番問題になったのがこれ。
  • I-131は甲状腺に蓄積して甲状腺ガンを引き起こす。症状が出るのは代謝の大きい小児(14歳以下)。逆に言うと、成人がこの影響を過度に心配する必要はなさそう。
  • 100mSv(原理力関係で働いている人の被爆限度)以下の被爆の場合には発ガン率に有意な差は見られない。
  • 甲状腺ガンの予後は極めて良好で10年生存率が80%以上。チェルノブイリ事故でも甲状腺ガンになった小児の報告は多いが、亡くなった人は少ないらしい。
  • I-131の半減期は8日と短いため、影響は短期的なものにとどまる。より長期的な影響として注目されるのは半減期30年のCs137(セシウム137)など。
  • Cs137による内部被曝の影響はまだ検証されていない。白血病その他のガンの発病率の変化はチェルノブイリのケースでも未だ確認されていない。
  • プルトニウムが東京にまで飛散すると懸念する噂があるが、プルトニウムは重いのでチェルノブイリ事故の時にも100km圈以上にはほとんど飛散しなかった。
  • チェルノブイリでI-131による被爆が多かったのは、危険を知らずに牛乳などを飲んだことによるもの
  • 日本の暫定基準はWHO(世界保健機構)の基準より10倍厳しい。I-131 はWHO基準が3,000Bq/kgなのに対して日本は300Bq/kg
  • 日本は乳幼児向けにさらに厳しい100Bq/kgという水準を設定しており、今回の金町浄水場の検出値(230Bq/kg)はこれを越えたという話。

ということで、今の基準で相応に監視がされている限り、特に東京に住む成人についてはあまり心配する必要はなさそうというのが今の理解。

何となく気持ち悪いというのは確かだ。1960年代にも米ソ核実験の影響で放射能を帯びた雨が東京に降ったが、今回の事故によって降ったセシウムの量は当時の3倍なんて記事もある。そういうのを見てしまうと、雨に濡れるのはあまり気持ち良い気はしない。

ただ、見る限り東京は危険な状況ではなさそうなので、東京に住んでいる人は鷹揚に構えていくのが良いと思う。

参考サイト:
今の放射線は本当に危険レベルか、ズバリ解説しよう – 日経ビジネスオンライン
放射性物質の影響:山下俊一・長崎大教授
核実験フォールアウトとの比較:一瀬昌嗣・神戸高専准教授
WHOが日本の水道水に関する放射性物質の規制基準は国際基準の10倍厳しいと記載
降下セシウムは核実験時代の3倍 「早く沈静化を」と専門家

追記: エントリを書いてから見つけたけど、これも良さそう。
<原発震災への対処> 基準は変えず、個人の安心に軸を置いて、がんばらない対処を

4/2 追加:
チェルノブイリ事故の放射線の健康影響について(2008年、国連化学委員会報告、抄訳)

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