エクセルは作りこむな

(読了時間=約 2 分)

仕事でエクセルをよく使う人は多いと思うので、参考までに少しエクセルの話を。というのも、私はこれまでエクセルをいろんな場面で使ってきて、社内的にもエクセル使いと言われているのだけれども、私のスタイルは他のエクセル使いとは大きく違うようなので。変わった視点ということで何かの参考になるかもしれないので、まずは書いてみます。

ポイント1:機能を使わないこと

私がエクセルをうまく使うポイントだと思うのは、まず第一に「機能を使わない」こと。

一般的に「エクセルが上手=関数や機能を沢山知っている」という理解があるけれども、別に関数や機能を使わなくても仕事はできると思う。私が通常使うのは四則演算の他はせいぜい「sum」と「if…」ぐらい。「lookup」もたまに使うが引数の設定は覚えてないので毎回ヘルプで調べてる。ピポットテーブルなど使ったこともない。

でも、仕事で困ったことはありません。少なくとも私の場合は財務数値分析や事業計画、損益シミュレーションなどが中心なのであまり複雑な関数は必要ない。もちろん、ピポットテーブルなど、使ったら便利かもしれないけれども、それを覚える手間もあるし、使うとシートがより複雑になる。正直、一般のビジネスユースではそれを上回るメリットがあるように思えない。

ポイント2:作り込まないこと

第二のポイントは、「作りこまない」こと。

これは、戦略検討をする場合だから余計重要視するということもあるかもしれない。

理由① 素早く作れない

戦略検討の場合、そもそも情報や予件が少ない中で検討を進めることが多いので、例えば1週間かけて作り込むよりも、1日で粗いものをサッと作って議論した方が良い場合が多い。作り込みを前提にしていてはこのような素早い対応ができなくなる。

理由② 変化に対応できない

第二に、前提条件が結構変わる。入らないと思っていた情報が急に入って計算ロジックが大きく変わったり、議論をした結果、当初とは違う部分が重要になってきてそこがシミュレーションのポイントになるという場合もある。作りこんでしまうとこの様な状況変化に対応する柔軟性が失われる。

理由③ 他の人に説明できない

三番目に、戦略検討の場合、検討ロジックそのものが議論の対象になることもあり、その場合は、どうやって算出したかというロジックを相手と共有する必要がある。複雑に作りこんでしまうと、中身の共有そのものがだんだん難しくなり、エクセルがブラックボックス化してしまう危険がある。

理由④ バグが解明できない

最後に、バグが見つけにくくなる。特に短い期間でどんどんシミュレーションモデルを発展させながら検討を進める場合など、どうしても計算ロジックのバグが出る。そんな時、複雑に作り込み過ぎていると、自分でも計算過程がわからなくなってきて、不可思議なバグを消せずに悩むことになってしまう。

Excelを実戦で使いこなすために大切なこと

第二のポイントは言い方を変えれば「自分が混乱しないように作ること」だ。

複雑なシミュレーションを厳しい時間制約で作ろうとする場合、これが最大のポイントになる。エクセルは何でもできるが、それに甘えて徒然にシートを作りこんでゆくと、凄く分かりにくいものになってしまう。その瞬間はわかっていても、数日経つと忘れてしまい、後で修正する時に悩んだり勘違いのもとになったりする。それは時間的ロスでもあるし、”思考体力”を消耗させることになる。それでは駄目だ。

要するに、徹夜続きの中、厳しい時間制約のプレッシャーで半分パニックになりながらもミスが発生しないエクセルシートの作り方が大事なのだ。平時にちょこっと便利なのは大した問題じゃない。大事なのは修羅場の作業で頼りになるということだ。
Excelという名前だからと言って Excellent を目指す必要はない。実戦で本当に頼りになるのは excellent(優良)よりも robust(堅牢) なものだということは忘れるべきではないと思う。

 

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