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10代の頃に、宮城音弥著の「天才」という本を読んだ。
自分で買ったのではなく親か兄弟かが買った本だったと思う。
すごく古い本で、第一刷発行は1967年。
コロンブス、マルクス、ルソー、ベートーベン、ゲーテ、モッパーサン、夏目漱石など、様々な分野で天才と呼ばれた人物を題材にあげながら、天才とは何かということを心理学的に分析した本だ。
歴史的な天才についてのあまり知られていないエピソードが沢山紹介されていて興味深い。特に面白いのは、天才と呼ばれた人のほとんどが、精神的に病的なものを抱えているということだ。
偏執狂であったり強い劣勢コンプレックスに悩まされていたり、異常性欲だったり、あるいは極度の躁鬱気質だったり。さらには、進行麻痺や精神分裂病といった病気を患っていた天才もいる。
何が変わっているかという点はいろいろなパターンがあるが、何らかヘンなところがある、という点は共通している。卓越した才能というのは、他の何かとのトレードオフになっているということなのかもしれない。
ビジネスの世界でも似たようなところがあって、経営者、特に自ら事業を創造してそれを大きくするアントレプレナー型経営者は、変わった性癖を持っている人が多い。後世に名を残す歴史的天才ほど極端ではないにしろ、やはり何らかのトレードオフが存在するのだと思う。
先日見た「ソーシャルネットワーク」の映画の中で描かれているマーク・ザッカーバーグの性癖も、そういう視点で見ると全く違和感がなかった。
アントレプレナー育成という議論があるけれど、アントレプレナーを育てると話に疑問を感じる。アントレプレナーシップは育成されるものではなく、最初からそこに存在するものであり、必要なのはそれを妨げない(野放しにする)環境なのではないかとも思う。
というわけで、本書はビジネスマンが読んでも面白い本だと思う。
特に、創業経営者の下で働く人には是非ご一読をお勧めしたい。
検索してみたらこの種の本はいくつか出版されているようだけど、読んだことがないのでひとまずこれをお勧めします。値段も安いので是非どうぞ。