エクセル:見やすいアウトプット

(読了時間=約 3 分)

計算シートの次は、アウトプットシートの話。

資料は分かりやすさが命!

エクセルに限らず資料は分かりやすく作ることが大事だ。分かりやすいというのは、相手にとって見やすく、かつ、自分の言いたいことがちゃんと伝わるということ。だから、分かりやすい資料というのは相手によって違うし、資料で何を伝えたいかによっても変わってくる。大事な資料を作る時には資料の対象や目的をはっきりさせてから作業に入ると方向性がはっきりすることが多い。

さて、資料の方向性がはっきりしたところで次の課題は、複雑な数表をいかに単純明快に見せるかという点だ。

エクセルは計算をどんどんやってくれるので、資料の情報量が多くなりがちだ。でも、情報量が多くなると、受け手の側でそれを理解することが負担になり、ついには理解不能な資料になってしまう。この罠にはまらないようにすることがポイントだと思う。

受け手が簡単に図表の構造を理解し、重要な数値に自然と目が行く。そんな資料になっていれば、説明に時間をかけずとも検討結果を共有でき、その先の議論に時間を割ける。また、万一分析結果に疑義がある場合でも、皆で内容を検証してミスを見つけたり、分析方法の改善の助言を得られたりもする。

折角エクセルを使うのなら、このように建設的なミーティングにしたいものだ。

では、どうすれば図表が見やすくなるか?

図表を見やすくする三原則

図表を見やすくするための小技はいろいろあるが、改めて自分のやっていることを振り返ると、概ね3つ程度の大原則があるように思う。

1. 情報量を少なくする

不要かあるいは重要度の低い情報は思い切って削除する。偉い人向けの資料だとリスクヘッジのために最大公約数的な資料にしがちだが、それでは分かりやすくならない。いい仕事をするなら「削る勇気」というのを持つべきだ。ただ、情報を少なくしすぎて受け手の理解を妨げるようになっては逆効果だ。体脂肪は低いが筋肉隆々なアスリートの様なバランスをとることが重要になる。

2. 重要な点を目立たせ、そうでない点を地味にする

目立つというのはコントラストをつけるということ。だから、重要な点を強調するだけでなく、重要でない点を目立たなくする工夫がとても大事だ。特に後者が忘れられがちなので留意したい。ファッションやメイクと同様で、強調ばかりだとケバいだけでかえって見にくくなってしまうからだ。

3. 幾何学的な視点で考える

人間の視覚は、網膜から入った情報がまず画像として認識され、さらにそこから文字や数字が抽出されて言語的処理が始まる。だから、図形的な認知の段階で重要情報がハイライトされるような仕掛けはとても有効だ。要するに、レイアウトとか文字の図形的側面に気を遣うということ。情報の中身に気をとられると、こういった幾何学的情報が忘れられがちになるので注意したい。

図表を見やすくする小技15選

原則だけだと分かりにくいので個別の小技もいくつか紹介してみる(順不同)。上の三原則と対比させながら読んで貰えると私の言っていることがより理解しやすいと思う。

  1. 情報を「必須な数値」と「備考として必要な数値や情報」に分け、両者のメリハリを付ける。例えば、項目のラベルは縦軸・横軸の意味を示す上で必須だが、項目名をさらに詳しく説明する「備考情報」は重要とは言えない。
  2. 備考情報に無駄なスペースを使わない。場合によっては、文字を小さくしたり、薄い色にしたりしてその存在感を抑える。
  3. ある項目の内訳数値を表示しているが、それが「備考」的な情報である場合には、注記として表の外に追い出した方が表が見やすくなる
  4. 縦軸・横軸の項目名(ラベル)は重要だが、それが表のメインではない。だから不必要にスペースをとらないようにする。表をラベル・備考情報・数値に分けた場合、数値の占める面積が表全体の7-8割以上(感覚値)を占めるようにする。
  5. 項目名が長すぎてスペースをとる場合には、略称をうまく活用する。
  6. 項目はできるだけカテゴライズして見せるようにすると受け手にとっての情報量が減り、見やすくなる。
  7. 「カテゴリの欄を設けて小計を表示する」までしなくても「似たものを集めてその両端に罫線を入れる」だけでも視覚的にはカテゴライズして見える
  8. 同じ記述が並ぶ場合には、「〃」などを使って表示を省略した方が見やすい。(4文字の同じ記述を「〃」一文字に変えると情報量が1/4になる)
  9. 途中まで同じで最後の数文字が違う項目名が並ぶ場合には、同じところをいかに目立たなくするかを考える。(同じところを略称にするとか、カテゴリ欄を設けて個別項目での記載を削除する)
  10. 数表のトレンドを示したい場合には、同じトレンドを示す項目を集める(表を遠目で見たときに左上と右下が黒っぽく見える=数字が多い、といった様に図形的に目を引くようにできると注意を引きやすい)
  11. 無駄に細かい桁にしない。(億円単位の変化しか議論にならない図表を千円単位で記載する必要はない。記載数字が多いほど情報量が増えてわかりにくくなる)
  12. 表示設定で”0″を”-“と表示すると見やすい。(「0100101010」と「-1–1-1-1-」と比較すれば一目瞭然。”0″は”1″と同じくらいのスペースを専有するのに対して”-“は上下方向にスペースをとらないので空間的情報量が圧倒的に少ない。だから数字の有る無しが議論になる場合には”-“表示が効果的)
  13. 前年比などの比率では、「+10%」「-10%」という表記より、「110%」「90%」という表記の方が見やすいことがある。(右詰で表示した場合、前者だといずれも4文字だが、後者だと4文字と3文字であり、文字数の違いで幾何学的に違いを見つけやすい)
  14. 数式貼付けで”#DIV/0!”が出たら丁寧に削除する。あるいはif文を使って分母がゼロの場合は空欄を表示するようにする。(#DIV/0!はスペース占有量が大きいため目立つけど、数表的には意味がない場合が多いため)
  15. 図表の中の書式は統一する(右詰左詰が混在したり、表示形式がばらばらだったりするとそれだけで見にくい。おかしいと思ったら都度修正するのはやめて、最後に表全体を選択して書式を一括設定する)

まだ分かりにくい気がするので、次回は一つ事例を使って説明します。

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