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最も基本的なビジネス文書の一つである業務報告書について、自分がやっていた定石をご紹介します。基本的にはオーナー社長に対して日報形式で報告を上げていた時の書式ですので、そのまま全ての報告書にあてはめるわけにはいきませんが、ひとつのやりかたとして参考になればと思います。
第一回目は書式編。「何事もまず形から・・・」ですからね(笑)
1.ヘッダ部分
日付、相手先、書類名、自分の所属氏名などが記載されている部分です。日報の場合には日付を強調した専用ロゴを使っていたが、通常の書類を記載する場合には、下記の様に記載していました。
(1) 日付(12pts:Arial:太字:右詰め)
- 日付は「00/05/29」のような形で記載。
- どんな書類を作るときも日付はできるだけ省略しないようにします。また、同じ日に修正版を出すときには「00/05/29-2」のように版の管理を行います。細かいようですが、忙しくなってくると混乱することがあるので、常日頃からこのようなカッチリした整理を行う癖をつけておいた方が良いと思います。
(2) 相手先(12pts:MS明朝:左詰め)
- 相手先の個人を特定しない場合は、「○○株式会社 御中」。相手先を特定する場合は、「○○株式会社 ○○部 部長 ○○○○様」と記載します。一行書きにして長くなるようなら(概ね書類の幅の1/3程度が目安)、2行に分けて記載します。この場合は上下の文字列の長さを揃えるように適当に空白などを入れて字間を調整します。(美意識の問題)
- 「株式会社」は「(株)」と略さないのが基本ですが、あまり厳密に考える必要はありません。相手の様子を見て対応して良いと思います。氏名も同様で、基本的にはフルネームで記載すべきですが固定的に考える必要はありません。なお、苗字だけの場合には「○○部長様」と役職を後に回して書きます。
- 「○○部長」と書く場合には本来、「様」は不要のはずですが、つけるケースが多いのが実情です。私も基本的には付けるようにしています。
(3) 表題(14~16pts:MSゴシック:太字:中央揃え)
- 書類の幅の1/2~1/4に収まるように大きさを調整します。文字数が少なければ間にスペースを入れるし、多ければ二段書きにすることもあります。ただし、書類の表題はあまり文字数を長くしないのが基本。補足的に書き足したいことがあったら、副題(12pts程度の小さ目の文字で記載)をつけることで対応します。
(4) 所属氏名(12pts:MS明朝:右詰め)
- 自分の所属氏名を記載する欄です。社外文書の場合には、会社名から記載します。「○○株式会社 ○○部 ○○」という形。1行では書けないので2行書きです。一方、社内文書の場合には、部署名と氏名だけを記載します。
- 氏名は基本的には姓名を記載します。ただし、相手先の記載で「○○部長」などと苗字だけで記載した場合には、自分の名前の記載もこれに合わせて苗字だけにします。なお、自分の役職については特に必要(例えば、部長名で出すべき公式書類など)がない限り基本的には書きません。自分の名前を「○○部長」などと書いていると笑われます。
2.本文
本文は、a.項目(報告すべき項目)、b.本文の2つの部分から構成されます。
(1) 項目(14pts:MSゴシック:太字)
- 何についての報告かを宣言する部分です。例えば、「1.ホームページについて」など。基本的には一つの案件につき1項目とします。
- また、一つのテーマに関連していくつか案件がある場合には、「1.ホームページ関連」と大項目を設定した後で、「①アクセス数増加策」や「②サーバーメンテナンス対応」などといった小項目を設定していきます。(小項目は12ptsで記載)
(2) 本文(12pts:MS明朝:2行目以降からは一文字右にインデント)
- 本文は12ptsで記載します。これはワードのデフォルト(10.5pts)より若干大きい文字です。行間などは標準のままなので、A4用紙の中に37文字×36行程度しか記載できないことになります。
- ここで重要なのは、焦点を絞り、いかに明快に文章を書いてゆくかという点です。最初は難しく感じますが、練習すればできるようになります。ただ単純に明快な文章を書くよりも、このように全体の量を規定した中で表現していこうとした方が訓練になると思いますので是非やってみてください。
- 本文は3つのセクションより構成されます。「状況説明」、「結論」、「補足説明」の3点です。「状況説明」はそのテーマの背景や状況を記載する部分で、「結論」は状況説明を受けたこちらの対応や考え方を記載する部分です。ここまでで説明しきれない場合や、補足的に情報を加えたい場合は「補足説明」を加えます。それぞれのセクションは、段落の書き出しを「・」「→」「※」という記号で書くことで、ざっと見てもわかりやすいようにしています。
(例)
1.ホームページ関連
① 一般公開について
- このホームページは当初、社員向け限定で運営する予定でしたが、パスワード保護などのセキュリティについては操作性が煩雑になることから導入を見送ってきました。しかしセキュリティをかけないと、「外部から見られる可能性」を常に考えながら書き込みをしなければならなくなります。その結果、現状では外部に公開したのと同様の運営になりつつあります。
- → 実質的に影響がないならば、社員向けという限定をはずして一般公開する方向で考え直したいと思います。関連企業や主要人脈にも公開することで、より広い意味での告知・連絡ツールとして活用できるようになります。今週より具体的検討に入る予定。もし問題があるようでしたらご指摘ください。
- ※ 一般公開といっても社内の人間に限定しないというだけで、基本的には関連会社やOBの間での公開にとどめる方向です。検索エンジンに登録して不特定多数向けに公開するわけではありません。
- 1段落は3~5行として段落の間は1行開けます。1つの段落で1つのテーマだけを記載するのが基本です。これにより読み手が段落を一まとめにして論点を整理することができます。それぞれのセクションについては1段落でまとめるのが基本ですが、状況説明については2~3段落になってしまうこともあります。この辺りは臨機応変ですが、なるべく簡潔さを心がけるようにします。
- 報告は、
[状況説明] → [結論]
○○○な状況 → (なので) ○○○をします。という基本形の繰り返しです。日常のビジネスは様々な要素が絡まって非常に複雑になるものですが、それをいかにこの簡単な基本型に落とし込めるかがノウハウです。これが習慣として身につくと、その人が「何を根拠にどういうことを言おうとしているか」と瞬間的にまとめられるようになるので、報告書やメモの記載が極めて効率よく行えるし、テーマの定まらないブレーンストーミングの議事録を書くのも簡単です。
- 業務報告というのはチームワークで動くビジネスマンとしては基本中の基本です。これをしっかり書けるようになることは非常に重要ですし、また、その過程で得られるスキルは極めて応用性の高いものです。ですから、慣れるまでの間は日報2~3ページに2~3時間程度をかけても良いと思います。自分も一時期そういう時期がありましたし、それは決して無駄ではなかったと思っています。
3.末尾
- 報告書が2ページ以上になる場合には、フッタの部分にページ数を記載しましょう。私は下余白の中央部分に「 -1- 」という形で記載するのを常としていました。資料をもって説明する時にはページ数がないと不便なことが多いので、常日頃からページを記す習慣を身に付けておくと良いと思います。
- 全ての報告が終了したら、「以 上」(12pts,MS明朝,右詰め)と記載します。「以」と「上」の間は詰めるとバランスが悪いので一文字開けるようにします。これも美意識。見やすい書類を作るためには「美意識」を持つことは重要です。
以上。次回は「報告書の書き方2(文章編)」をお送りします。
(2000年5月掲載)
とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。