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久しぶりに本の紹介です。
「イシューからはじめよ」という本。
ヤフーの現COO室長で、元マッキンゼーの安武和人さんの著書です。
M社出身の人に聞いたんだけれども、この人はM社在籍時には問題解決の神と言われて畏れられていたそうです。
内容はまさに fully agree としか言いようがない。昨年12月に出た本なんだけど、こんなのが出てると知ってたら自分のブログでイシューの話なんか書かななかったと思う。戦略コンサルタントを長くやっているとある時からこのことに気づくんだけど、実際、世の中にはこれに気づいていない人も多い。そのポイントが、実に懇切丁寧な説明とともに書かれている。
でも、人によって説明のしかたは違うもんだなとも思う。人間の思考というのは、最終的にはアートというか、センスでもう一伸びするような局面が出てくるんだけど、私は人に説明する時にはあまりその話をしないようにしている。
「センスを磨け」というと、具体的にどうしたらいいかがわかり難く、根性論的に聞こえてしまうからだ。がんばっても、成果が出ない時には全く出ない。それじゃぁ教える意味ないじゃんか、と思ってしまう。
だから、自分が人に伝える時は再現可能性のあるやり方だけを徹底的に抽出して、それをわかりやすく伝えようとしてしまう。どんなに難しくても、徹底的にそれをやりこめば必ず一定の成果が出るからと確信を持っていえるからだ。
その上で、それだけじゃ解決できない境地もあるんだよとそっと言う。超一流になるには才能が必要だが、一流には努力すれば誰でもなれる。何となく、そういうことを言いたい気持ちがある。
でも安武さんの場合はセンスを前提に本を書いているように感じる。この業界ではそれ派の人がいるのは知っている。でもなぁ、それで人が育つかなぁ。でも、この人はマッキンゼーでトレーニング担当だったんだよなぁ。ということは、十分な実績と経験に基づいて、センスを否定しないという結論に達したのかなぁ。などと考えながら読んでいました。
ま、でも多分書店で売られている本の中では問題解決の本質を一番鋭く突いた本だと思います。これに興味がある方は是非ご一読をお薦めします。
もう一つ、この本で面白いのは、後半に分析や表現の仕方が徹底的に説明されている点だ。
面白いことを考えているのに、それがびしっと表現できないという人は若手コンサルタントでも結構多い。お前それを言うのに何でこのグラフなんだよとか、馬鹿の一つ覚えみたいにマリメッコチャート(marimekko chart)な人とか。枚挙に暇がない。
Say it with charts という本があって、図表表現の参考に良いという話ではあるけど、洋書だし図鑑みたいな感じの本なのであまり趣旨が伝わらないところがあった。でも、この本の後半を読めば、何に気をつけなければならないか、何故自分のスライドが読んだだけで理解されないのかが、よくわかると思う。
そういう意味で、ロジカルシンキングにはそれなりに自信あるけど的な人も一読することをお薦めします。