「日本の首相」の余命はあと5年

(読了時間=約 2 分)

海外から来日するパートナーが必ず話題にするのが、震災後の日本の対応、工場などの復旧の早さ、そして日本の首相が毎年変わることだ。

首相が変わることについては、安部総理以降の4人がほぼ1年で交代し、管総理の辞任も秒読み段階に来ているように見えるということを指摘して、日本はこんなんで大丈夫なのか、どう思っているのか君は、と来る。小泉総理は5年半だったが、そのような人は近い将来現れるのか。とも言う。

しかし、みんな小泉総理までは遡るけれどもそれ以前の長期トレンドを通して議論することはあまりない。記憶を辿ると細川護煕首相の頃もころころ首相が変わっていた気もするし。

ということで、岸信介首相の時代から、歴代首相の在任期間を並べたグラフを作ってみた。

まず目につくのは、小泉首相の任期の長さだ。岸信介氏依頼24人の首相の中で、佐藤栄作首相に次ぐ2位。岸信介首相が就任したのは1957年なので、ほぼ50年の中で2番目に長い任期だったということになる。

次に気がつくのは、在任期間がおしなべて短いことだ。米国の大統領の任期は1期4年。これは日数換算すると1,461日になる。ブッシュ前首相は二期やったから3,000日近い在任期間だ。

対して日本では、過去50年で最長の在任期間となる佐藤栄作氏でやっと2,798日。4年以上の在任期間を持つ首相はたった4人しかいない。平均値は810日(2.2)年でしかない。

つまり、歴史的に見て、日本の首相は短命なのだ。

三番目のポイントは、長期トレンドとして、在任期間が短くなる傾向にあるように見えるということだ。岸信介、池田勇人、佐藤栄作の3人はいずれも1,000日以上、田中角栄~鈴木善幸首相の期間は700~800日が再頻値。中曽根首相から小泉首相までの間は、長い人は600~800日だが短命な人もおり、平均は493日でしかない。確かに小泉首相後の4人の任期は短かったが、これが歴史的に見て特異な現象ではないようにも見える。

改めて、データの傾向に忠実に在任期間の長期トレンドラインを描いてみたのが下の図だ。

非常にきれいな形でトレンドラインが形成されていることが見て取れると思う。

現在の管総理は第94代総理なわけだが、この長期トレンドラインを延長してゆくと、ちょうど第99代総理のところで、在任期間がゼロになることになる。

つまりこういうことだ。

日本の政治システムは他の国にはない発展を遂げており、総理大臣の必要性は年々低下している。近い将来(5年以内)、内閣総理大臣という機能はその役目を負え、発展的に消滅することになる。

世界は未だどの国も到達したことのない政治的イノベーションを目のあたりにすることになるだろう。

今度外人パートナーに質問されたら、自信たっぷりにこう話してやろうと思う(笑)。

2 COMMENTS

通りすがり

大学で日本の首相の在任期間を研究している者です。
ちょっとあるデータを探していたところ、たまたまこのページにヒットしました。
回帰線で、5年以内に首相がいなくなる、という予測(というより、ジョーク?)は面白かったです!
ただ、「総理大臣の必要性は年々低下している」と書いてらっしゃいましたが、政治学での一般的な説明は逆でして、首相の重要性がますます増加してきたがために、人気がない首相は早く降ろされる、という現象が近年顕著になってきたようです。逆説的というか、皮肉ですよね。
日本の首相には、短期的な業績(に見えるもの)をあげられることが要求されているようです。それが果たして日本にとって良いことなのかどうか分かりませんが。

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sean.imam

コメントありがとうございます。
このエントリはジョークですので研究には使えないと思いますが(笑)、楽しんで戴けたようで何よりです。
官僚主導を脱却するという意味では首相の重要性は増しているということだと思いますが、それを行う「人材」と仕事できる環境を支える「制度」がマッチしてないのでうまくいかない気がしますね。

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